安藤昌益用語集
 昌益の著書には、他では目にすることのない言葉が多く登場します。独自の言葉で思想を表現しており、現代でいうコピーライティングの才能があったといえるでしょう。
 昌益の考え方を理解する手掛かりとなる用語。その代表的なものを、以下でご紹介していきます。
用語 意    味
直耕
(ちょっこう)
自然の循環の中で自ら正しく農耕を行い、生活していくこと。男は穀物を耕し、女は麻を織る。このような労働の行為こそが、人の人たるゆえんであるという主張がこめられている。
不耕貪食
(ふこう 
どんしょく)
自ら生産労働をせず、他人が働いた成果を盗み取ること。聖人や王などといった支配者が自ら働かず、不耕貪食して農民の労働を貪(むさぼ)り食っているとする。
互性
(ごせい)
あい異なるものが相互に依存し、かつ相互に相手の本性を内在している関係のこと。天と地、男と女、雄と雌などの関係をいう。本質的には同一だが、現れ方が違うのであって、お互いがお互いを活かし合って存在していることである。
自り然る
(ひとりする)
自然(しぜん)のことをいい、自然とは自ら生命あるように活動し、循環するものであるとする。運動の根源たる土活真(どかっしん)が自立的に動いていく、その総体を指す言葉である。
自然の世
(しぜんのよ)
全ての人が自ら働いて生活し、貧富の差も上下の支配関係もない平等な社会のこと。「与うることをして、取ることをしない」理想な社会である。
法の世
(ほうのよ)
権力者にとって都合のよいようにこしらえた法律や制度によって支配する社会のこと。都合よくこしらえた法律や制度を私法(しほう)という。武士が支配する封建社会はまさに法の世にあたる。
食衣
(しょくい)
人間の生活の基本は食して衣(い)を着ることにあるから、食は人の命を生む親であり命の根源であるとする。人は食より生じて食をなし、食なき時は死に至る。生きるために食し、食すために生きているのであるという。
転定
(てんち)
天地のこと。天はつねに回転し、地は動かず固定していることから、転定と名づけた。
活真
(かっしん)
活真とは、「いきてまこと」とも読み、すべてのエネルギーの根源をいう。五行(ごぎょう)論の「土(ど)」を思考の中心に位置づけ、物事を内部から突き動かす真の力を土活真(どかっしん)と呼んだ。
無始無終
(むし
むじゅう)
始めもなく、終わりもなく、一つの輪のように循環していく大きな時間の流れのこと。土活真(どかっしん)が始めも終わりもない永遠の自立運動を行うとする。
盗道
(とうどう)
天道を盗むことで、他人が働いた直耕の成果を盗み取ること。盗道は万悪の根源であり、聖人と呼ばれた支配者が直耕や天道を盗むとされる。
通・横・逆
(つう・おう・
ぎゃく)
エネルギーの根源たる活真が上や横、下に向かうこと。通気として上に向かうと直立する人間が生まれ、横気として横に向かうと横になる鳥獣虫魚を生じ、逆気として下に向かうと頭と足とが逆となる穀種草木を生ずる、という気の運行の仕方をいう。
男女
(ひと)
男と女がいて、初めて一人の「ひと」となり、人間になるということ。
「男女」を「ひと」と読ませ、江戸時代に男女平等をはっきり唱えた記念碑的な言葉である。
二別
(にべつ)
本来一体であるものを二つに切り離し、上下や貴賤、貧富の差別をつけること。「男女に二別なし」というのは、男と女がいてはじめて一人の人間になるから、男女に上下の差別はないとする。
命の根
(いのちのね)
命根(いのちのね)とは稲のことをいい、略して命根(いね)という。人は稲の精から生まれ、稲を食して命を養うから、稲は命根(いのちのね)となる。
世の根
(よのね)
世根(よのね)とは米のことであり、これを略して米(よね)という。人は耕して米をつくり、これを食して人の世をつくることから、米は世根(よのね)となる。
聖人
(せいじん)
道徳的に優れている人ではなく、王や帝、君と呼ばれる支配者のこと。働かずして農民の労働をかすめ取り、私法をこしらえて農民を貪り食うような権力者のことである。儒教や仏教を始めた孔子や釈迦も聖学を唱えて民を欺き、直耕の道を盗む者とされる。
真人
(しんじん)
いちずに「直耕」する人の意味で、田畑を一生懸命に耕している農民を指す。「直耕の衆人(しゅうじん)」と表現される。
正人
(せいじん)
「自然真営道」を体得し、実践する理想的な人間をいう。活(い)きて真(まこと)なる人として「活真人」とも呼ばれ、自然の世を実現することができる人である。
進退
(しんたい)
進退とはエネルギー根源である活真が自己運動することである。進んだり、退いたりして動いていくことである。それは「進」の内に「退」を含み、「退」の内に「進」を含むという、相互に内在する「互性」の関係を有する運動やそのはたらきである。

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